研究概要 |
本研究では、D.H.Lawrence Aaron's Rod, Henry James The Tragic Muse, Virginia Woolf Jacob's Roomといった英米のモダニズム小説を精読し、各テクストにおいて「非白人移民」や「太平洋」、「英米間の経済的および人種・言語・軍事的結びつきとその亀裂」、「第一次大戦前後のヨーロッパ以外の地域での戦争や紛争」といった地政学的イメージがトランスナショナルな「大英帝国」のリベラリズム・イデオロギーとの関わりで担っていた意味を探った。そのうえで、文化表象としてのアングロサクソニズムを、英米関係におけるグローバリゼーションとナショナリズムの複雑な関係、あるいは、帝国の再定義を巡るさまざまな協調と葛藤として解釈した。 論文としては、個別論としては、国際ウルフ学会のselected papersや慶應義塾大学出版会から継続中の『身体医文化論』の研究プロジェクト、日本ウルフ協会の学会誌、20周年記念特集号への寄稿などの形で、概括的には、東京学芸大学の紀要論集に発表した。また、口頭発表に関しては、第9回国際D.H.ロレンス学会(2003年6月30日〜7月4日京都ガーデンパレスホテル)において、"Empire, the Pacific and Lawrence's Leadership Novels"として発表した。(学会論文集に投稿済み・4月出版の予定。) これらの成果は、著書の形で出版する予定であるが、まずは、140ページ程度の研究成果報告書としてまとめ、提出済みである。
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