本研究においては、いくつかの構文を選び、それらを議論することによって、表示の経済性の性質を明らかにした。 表示の経済性は、統語部門において、一番良く研究されており、不必要な句は表示しないというものがSpeasなどによって、提案されている。そこで問題になる構文として、目的語の削除がある。これは、従来、談話から予測可能な要素は表示しないという主旨の原則によって説明されていた。しかし、それは、Speasによると、統語の表示に課される条件とされた。しかし、本研究では、それらの現象は、事象構造における表示の経済性という点から捕らえることがもっとも妥当であるということを、様々なデータを駆使して議論した。その成果は、研究社から出版された「機能範疇」という本に書かれた。さらに、この本では、同じ原則がby句の削除等にもあてはまる一般性のある原則であることが述べられている。 表示の経済性の2つめの研究テーマとしては、発音されない動詞がある。例えば、I want a car by tomorrowという文においては、副詞を修飾する動詞が目に見える形であらわれてはいない。そこで、本研究では、発音されないhaveが、これらの文には存在することを主張した。その動詞の存在は、いくつかの英語と日本語の関連携構文を吟味することで明らかにされた。その研究成果の一部は、Glow in Asiaという国際会議で発表され、その議事録に論文として出版されている、また、別の視点から、同じ構文を述べたものが、2000年1月にニューヨーク州立大のコロキアムで発表され、多くの貴重な意見をえた。そこでのコメントを盛り込んだ成果の一部は、研究社の前述の本の中で議論されている。
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