研究課題/領域番号 |
12610494
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中尾 佳行 広島大学, 教育学部, 教授 (10136153)
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研究分担者 |
松尾 雅嗣 広島大学, 総合科学部, 教授 (40106787)
地村 彰之 広島大学, 文学部, 助教授 (00131409)
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キーワード | コーパス言語学 / 「カンタベリー物語」写本の電子テクスト / 比較コンコーダンス / チョーサーのテクスト批評 |
研究概要 |
本研究の目的は、パーソナル・コンピュータを利用し、G.チョーサーの『カンタベリー物語』(The Canterbury Tales)の84写本のうち、最も重要であると考えられる、HengwrtとEllesmere写本を選び、その比較コンコーダンス及び各種インデックスを作成し、チョーサーの言語研究ないしtextual criticismに貢献することである。平成12年度は、研究計画1)に則して、The Canterbury TalesのHengwrt、Ellesmere写本の入力と比較コンコーダンスの作成を、2)で示したRalph Hanna III intro.(1989)とP.G.Ruggiers ed.(1979)を基に推し進めて行った。写本転写の条件に係わって、N.Blake、Sheffield大学前教授に助言を求めたところ、The Canterbury Tales Project(ディレクターはN.Blake)のChaucer死後600年際の特別企画として、'The Hengwrt Chaucer-Digital Facsimile'が平成12年末にCD-ROMで出版される予定であることを知った。3)に従って、Sheffield大学を11月7日〜9日にかけて中尾と地村が訪れ、D.Burnley同大学教授とN.Blake教授と会合を持った。当該CD-ROMの実演を見、また中尾・地村による転写及び松尾の作成したコンコーダンスのサンプルを見せて、研究上の相互協力を話し合った。その結果、写本の転写に係わって、The Canterbury Tales Projectが作成したCD-ROMを広島大学(本科研のメンバー)が利用し、CD-ROM上ではまとめた形では解析できない比較コンコーダンスと写本の類別語彙リストを広島大学が作成することで合意を得た。前者は、我々が今年度の計画としていた両写本の入力部分、後者は、それに基づいた比較コンコーダンスと各種インデックスに当たる。CD-ROMの転写部分は、我々の編集条件とは全て符号しないが、我々のとつきあわせながら、現在電子テクストを調整中である。同一写字生の作と言われるが、文字、語の境界、語順、機能語(否定辞、数量詞等)等、種々の面での違いと方向性が見えてきている段階である。
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