研究概要 |
1.平成13年度の研究計画を実施するにあたり、その基礎作業として前年度に発表された国内のアメリカ南部文学研究文献(138件)の収集・調査を行い、その成果を"Studies of Southern Literature of America in Japan,2000"(共著)として『北九州市立大学文学部紀要』に発表した。 2.前年度から継続中のロバート・ペン・ウォレン研究に関しては、「ロバート・ペン・ウォレンの語りの技法と歴史意識」という論考を完成し、九州大学『言語文化論究』に発表予定である。そのなかでウォレンの『すべて王の臣下』とフォークナーの『行け、モーセ』の比較検討も行っており、両者の歴史意識がそれぞれ自伝的手法および演劇的手法という語りの技法に深く関与しているのではないかという仮説を提出している。 3.前項に関連して、ウォレンとフォークナーのインターテクスチュアリティを調査中である。両者は南部の歴史の重荷という主題や作品の時間構成の手法などの面だけではなく、比楡表現やイメージの使い方といった具体的なテキストレヴェルでの呼応関係もみられるので、現在個々の事例の収集を行っている。平成14年度中にその成果の一部を発表できればと考えている。 4.前年度の研究計画にあげておいたスタイロン研究については、とくに想像力による史実の変容という観点から作品分析を行い、現在「『ナット・ターナーの告白』と自伝のエクリチュール」(仮題)という論考を準備している。
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