研究課題/領域番号 |
12610499
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
樋口 康夫 熊本県立大学, 文学部, 教授 (80117374)
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研究分担者 |
高宮 正之 熊本大学, 自然科学研究科, 助教授 (70179555)
篠崎 栄 熊本県立大学, 文学部, 教授 (50117355)
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キーワード | 16・17世紀 / ヨーロッパ / Herbal(植物誌) / Henry Lyte / Rembert Dodoneus / Charles L'Ecluse |
研究概要 |
当初の計画では本年度は、昨年度のスイス、フランスの資料収集に引き続き、主としてイタリア、スペイン、ポルトガルの植物誌関係の基本的文献を収集し、今までの資料・文献と共にそれらを分析および解読をして、イギリスとヨーロッパ大陸の植物誌との関連を調査するのが主な目的であった。 まず、資料収集に関しては予想していたように当地に赴くことが出来なかったためかなり困難であった。本国で植物誌関連の古書を探すのは非常に困難であり、例え古書店で見つけたとしてもかなり高価であり、購買出来る点数は限られてしまう。特に、今回の場合のように、イタリア、スペイン、ポルトガルの場合は原物を日本で目にすることさえ珍しい。幸いに、昨年、一昨年と資料を収集した折に、イタリアのMatthiolusやスペインのMonardes等の基本的文献をも並行して購買することが出来たので、今回はそれらの文献を補足する形で、主として東京大学の図書館を利用してMatthiolus自身やBauhinに関する情報を収集することとなった。その他、ヨーロッパの本草学、植物学の祖とされる、Dioscoridesに関する文献を数点入手出来たことは幸いであった。著名な英訳本(Gunther編集によるGoodyear訳、The Greek Herbal of Dioscorides)や独訳本(Kraeuterbuch)はどちらも後世の復刻本ではあるが史料的に価値があるし、取り分け、ギリシア語のテキストにラテン語訳の付されたDe materia medica(1549)は非常に貴重である。 収集した文献の量からして、これらを整理、解読するのは、文字どおり一生の仕事たるべきものであるが、最も関連が顕著であると思われるHenry Lyte、L'Ecluse、Dodoneusの植物誌に関する我々のこの数年に亘る比較研究からでも、この三者が緊密に連絡を取りながら協力し、原著のCruydeboeckを近代的、科学的に正確なものに仕上げたものであることは明白に証明出来そうである。これからの研究に精励し、さらなる有益な成果を達成したいものと希望している。
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