研究概要 |
平成13年度の研究は、12年度に行った、William LanglandのPiers Plowman : The B-Testの基本写本B.15.17についての基礎的研究に基づいて、この作品の頭韻についての語彙的特徴と構造的特徴を明らかにした。この頭韻詩は中世英文学を代表する宗教的頭韻詩であり、頭韻に参加する語彙が英語本来語だけでなく、ロマンス語借用語も含まれている上に、基本的な頭韻構造aaAxが占める割合が低く、様々な種類の構造を許容するという特徴がある。 1.基本写本B.15.17の頭韻標示付きテキストの作成 William LanglandのPiers Plowman : The B-Textの基本写本であるCambridge, Trinity College MSB.15.17の各行において頭韻に参加する語を標示し、頭韻標示付きテキストを作成した。このテキストはLanglandの頭韻詩言語を伝える貴重な資料となるので、今後のLanglandの文体研究に大きな役割を果たす。 2.頭韻語の分布と頻度 The Vision of Piers Plowman : The B-Textの基本写本B.15.17において頭韻語として用いられる語を調査して、その分布と頻度を具体的に検討した。さらに、頭韻語の英語本来語とロマンス語借用語の分布を調査し、ラテン語が多く頭韻語としても用いられている点にも注目した。 3.頭韻構造の分布と頻度 B.15.17の頭韻標示付きテキストにおける頭韻構造の分布と頻度を調査した。基本構造であるaaAxを中心に様々な構造が使用されているが、その分布と頻度を検討した。
|