平成13年度に引き続き、16/17世紀及びそれ以前の地中海世界を中心とした文化史、地誌、異文化交流史関係の資料を収集し、英国ルネサンス演劇における両者の受容の経緯について検証を進めた。2002年8月17日より23日まで、バーミンガム大学シェイクスピア研究所にて資料収集を行い、ケンブリッジ大学キングズ・コレッジのPhilippa Berry教授、アリカンテ大学(スペイン)のJose Gonzalez教授との意見交換の機会も得た。さらに、同年12月25日と26日の両日にわたり、東北大文学部英文科に設置のCD-ROM版『英国劇文学集成』を閲覧し、Soliman and PersedaとCornelia (Pompey the Great His Fair Cornelia's Tragedy)に関する資料を収集した。上記の資料収集と意見交換などから、シェイクスピア円熟期の喜劇『十二夜』における小アジア・オリエント旅行記の影響や、1580年代後半の英国劇生成の過程などについて、今後の研究に資する新たな展望を得ることができた。また、2003年8月には大阪大学出版会より『英米文学入門』(共著)が刊行される予定だが、同書には上記研究の成果も踏まえた二つの章が含まれている。
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