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2003 年度 実績報告書

フロベールと近代芸術の潮流

研究課題

研究課題/領域番号 12610526
研究機関京都市立芸術大学

研究代表者

柏木 加代子  京都市立芸術大学, 美術学部, 教授 (10128689)

キーワードフロベール / 演劇 / 日欧文化 / 歌舞伎 / ジャポニズム / 心臓の城 / ル・カンディダ / コラージュ
研究概要

平成15年度はフロベールの20世紀初頭芸術への影響を日本文化も含めた国際的な視野で考察した。明治維新(1867年)にフランスに紹介された歌舞伎<芝居>特有の「花道」や「回り舞台」などは、当時のフランス文壇がレアリスムに傾倒していたことからレアリスム表現として評価されたという。殺戮や暴力シーンが舞台裏で行われてきたフランス古典劇に慣れ親しんだラランス人には歌舞伎の技法が新鮮に映ったのだろう。フロベール存命中の1870年出版のLe Japan illustre (en 2 vols)が日本に関しての最初のテクストである。フロベールのレアリスム考察に東洋思想が影響していたのかどうかは議論しなければならないが、少なくとも初稿『聖アントワーヌの誘惑』にもあるように、<舞台裏と舞台>といった戯曲の基本理念において、フロベールは真のレアリスムのあり方を試行錯誤していたことは明白で、当時の日本趣味の影響をそこに見いだすことも可能である。1878年の万国博事務官長前田正名の原作で「忠臣蔵」を手本とした劇『ヤマト』(1879年2月23日初演)がゲイテ劇場で上演されているが、パリの劇場にしばしば通っていたフロベールがこうした時代の潮流とは無関係であったとは考えにくい。フロベールの沈黙指向はまさに歌舞伎の<見得>に呼応する舞台技法であって、役者が含蓄の深い目立った表情・動作をしてみせ、観客が拍手を惜しまない沈黙の一瞬である。フロベールにとっての「演劇創作時代」である1870年代に日本趣味がパリの演劇界を賑わしていたことは注目に値する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Kayoko Kashiwagi: "La vi**que flaube***** an Japon de nos jo*rs"京都市立芸術大学研究紀要. 48. 37-45 (2004)

  • [文献書誌] 柏木加代子: "地上の楽園-洋館をめぐって 19世紀末から20世紀にかけての日仏文化の諸祖"京都市立芸術大学研究紀要. 48. 46-56 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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