研究概要 |
前年度の成果を受けて、枡田は歴史的推移の観点から、小川は類型論的位置付けから、格体系全体における変遷と相違をつかさどるパラメータの導出に努めた。本年度新たに購入した通時言語学書籍、言語類型論書籍(Routledge Language Comparison, Max Niemeyer Linguistische Arbeiten, Reihe Germanistische Linguistik, Stauffenburg Studien zur deutschen Grammatikなどの叢書)を活用し、同じく本年度購入のパーソナル・コンピュータおよび学生アルバイトによる研究補助の下、当該言語データの収集・整理・分類を推進すると共に、それらに言語学的考察を加えた。その成果をまとめた形で、ドイツ・ゲルマニスト会議(2001年9月、エアランゲン・ニュルンベルク大学)で発表し、また関係諸氏(Prof. Angelika Redder, Prof.Konrad Ehlich, Prof. Gerhard Stickel)と議論を重ねた。年度末には、枡田が一橋大学へ、小川が東京都立大学において関係諸氏と意見交換を行った。今年度の研究実績として下記の諸論文を刊行した。具体的な内容は、枡田が1)いわゆる斜格(oblique case)から主格への移行に伴う非人称構文の人称構文化に関する歴史的比較研究を推進し、2)類型的考察を加えて小川とに下記共著論文にまとめた。また小川は、1)ドイツ語を中心としたヨーロッパ諸語と日本語を中心としたアジア諸語における諸構文の実証的データの分析を進め、2)その相違が一連の文法現象(与格構文、再帰構文、受動構文、使役構文、非人称構文)といかに連動関係にあるかを考察することを通じて、3)個別言語の全体的特徴としての人間言語の類型化の可能性を示唆した。下記著書および諸論文はその具体的成果である。
|