研究概要 |
1.研究の目的と計画:近世のドイツ語圏地域を対象として、当時のドイツ語の地域的な同質性と多様性のあり方を分析し、現代に至るドイツの言語および言語生活の地域的個性の歴史的発展をあとづけようとする研究である。具体的には、16世紀初頭のドイツ農民戦争期に提出された農民の地域的諸要求書などを収集・整理した上で、それらの内容・表現などを分析・検討する。 2.平成12年度の研究カレンダー:本研究は、研究分担者個人による研究進行と研究グループ全体による集約との繰り返しによって進められる。(1)平成12年6月に、第1回研究打ち合わせ会を、(2)8月末-9月初旬に、ドイツでの資料収集調査を、(3)帰国時に、第2回研究打ち合わせ会を、(4)平成13年2月に、第3回研究打ち合わせ会を行った。 3.平成12年度の研究成果:さしあたり、ドイツ農民戦争勃発の地であり、また、最も有名な農民要求書である「十二箇条]成立の場所であるオーバーシュヴァーベン地方を対象とした。まず、主としてP.Blickele,Revolution von1525,1975を手がかりとしながら、当地方内で作成された農民要求書の刊行化史料を七十余点収集した。次に、G.Franz,Der deutsche Bauernkrieg,1933などを参照しながら、個々の要求書について成立時期と成立場所を確認するとともに、要求内容の整理と項目区分を行った。その結果、要求書は、それらの作成時期と場所から、大きく4ないしは5タイプに整理できること、1525年2月末の「十二箇条」作成のときを境に、それ以前に作成された箇条書とそれ以後に作成された箇条書とでは、内容と表現形式に幾分の差異が認められることなどがわかった。詳細の検討は、平成13年度に持ち越されることになるが、その第一段階の成果を、『福岡教育大学紀要』第51号第1分冊(平成13年度)に発表する予定である。
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