アイヌ語の文献資料調査を実施し、新資料をいくつか発見した。また、これまで収集した文献のうち、厳密な意味で英雄叙事詩を記した最古と思われる文献について、書誌的、言語学的な分析を行った。その結果、成立年代、記録されている方言について、確証となる事実を明らかにすることができた。また、現代において例外的とされている自動詞の他動詞活用が古くからみられることを指摘した。もう一つの研究業績としては、アイヌ語学上、各方書において古くから問題となって来たわたり音の問題について、これまでの各方言についてなされてきた所説を検討し、その解釈、意義について、新しい考えを提唱した。
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