本研究は、チベット・ビルマ系言語に属するキナウル語の記述的研究を行うものである。 本年度は、主として調査によって得られた資料の整理と分析の準備を行った。すなわち、得られた一次言語資料を電子化し、また、キナウル語に関する文献の資料も入力しつつある。 本年度および来年度において、名詞の屈折に関わる資料を収集整理する予定である。とくに与格標識は異形態が多く、形態論的に決定されると考えられる点も見られるが、慎重な分析が必要である。しかし、今のところ資料は十分ではなく、さらに多くの資料を収集する必要がある。 なお、会話資料を収集する必要性から、民話の収集も始めている。これは、格標識が談話の中で果たす役割や、格標識の省略などを分析する上で必要な資料である。
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