今年度の調査では、すべてのチベット語木簡に目を通し、それらを分類記述するための基準を確立することが第一目標だった。12月の大英図書館における調査で、ほぼすべての木簡の第一次調査をすることができた。さらに、大英図書館所蔵のスタイン蒐集による漢文、カローシュテイ、コータン語などチベット以外のすべての木簡を見ることを得た。それらの情報をもとに、チベット語木簡を形状と内容(再利用も含む)の観点から分類する基準をつくった。今後の調査の進展によって、一部改訂する必要が生じる可能性があるため今回の実績報告には詳述しないが、基本的な分類の枠組みは確率できたと考える。 また、チベット語木簡の3分の1にあたる800点については、第一次的な記述もおこない、データベースの作成を開始した。データベースは、マッキントッシュの4th DimensionとFilemakerを併用して作成している。とくに、刻木(tally stick)については、重点的に分析し、そのシステムと用法がかなり明らかになった。その成果は、2001年9月にSt.Andrewsで開かれる国際学会で発表する予定。 デジタル画像の作成も、今年度末には全体の3分の2ができあがる見込みである。現在、これまで作成したデジタル画像をもとに分析と修正を進めている。 今回は、研究成果の内容よりも進展状況の報告にとどまるが、初年度としては満足すべき成果が得られたと考える。
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