2001年度は、6-7月にかけて、武内と舘野両名が大英図書館において調査をおこなった。前年度の第一次調査(概要調査)にもとづき、今年度は、チベット語木簡の約半数にあたる、コータン地域マザールターグ遺跡出土の木簡群の精査をおこなった。調査の結果、以下の諸点かあきらかになった。 1)前年度の分類を修正し、チベット語木簡を形状と内容(再利用も含む)の観点から分類する基準を確立した。 2)チベットの刻木(tally stick)の形式と用法を、はじめて明確にすることができた。 3)刻木および他の木簡の用法と解読にもとづき、チベットの中央アジア支配における軍統治の実態がかなり細部まで判明した。 4)木簡のデータベース化が全体の3分の2、デジタル映像作成が4分の3程度まで進展した。 上記成果2)と3)については、2001年9月にSt. Andrewsで開かれた国際チベット歴史学会で、"Military Administration and Military Duties in Tibetan-ruled Central Asia(8th-9th c.)"として発表。論文集は、オランダのBrillから出版される予定である。
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