2002年度は、10-11月にかけて、武内と舘野両名が大英図書館において調査をおこなった。前年度の第2次調査(概要調査)にもとづき、今年度は、チベット語木簡の約半数にあたる、コータン地域マザールターグ遺跡出土の木簡群の精査をおこなった。調査の結果、以下の諸点かあきらかになった。 1)前年度の分類を再度修正し、チベット語木簡を形状と内容(再利用も含む)の観点から分類する基準を最終的に確定した。 2)刻木(tally stick)を始めとする木簡の形式と用法の概要を、明確にすることができた。 3)刻木の用法と解読に加え、関連した他の木簡および紙文書の解読と比較が進展し、チベットの中央アジア支配における軍統治の全体像が明確になった。 4)木簡のデータベース化が一部を残しほぼ完成。デジタル映像作成はすべて終了した。 上記成果2)と3)は2002年11月にロンドン大学School of Oriental and African Studiesにおいて、"Old Tibetan Woodenslips and Tibetan Administration of Central Asia (8th-9th c.)"として講演した。論文は、オランダのBrillから出版される予定である。
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