今年度はヤクート語の英雄叙事詩(オロンホ)のデータベース作成に向けて基礎作業を行った。具体的にはすでに入手しているマイクロフィルム資料などを印刷現像したものについて整理作業を施した。刊行されているオロンホの中で、マイクロフィルムあるいは文献複写等の手段により本文を未入手であるものを把握した。もっとも帝政ロシア時代及び10月大革命後比較的早い時期(1920年代まで)にモスクワや(旧)レニングラードで刊行されたものは概ね把握できたが、印刷の中心がヤクーツク市(現・ロシア国内サハ共和国首都)に移ってからの出版物については特に1939年のキリールアルファベット採用以後のものについてはさらに調査を進める必要があることがわかった。 データベースの作成については入力文字についてはsとh、gとy、kとxの書き分けが文献によってばらつきがあったり、jの鼻音と非鼻音字の書き分けなどの不統一、その他未だ継続的に検討せねばならないことが多い。そこで、今年度はデータベース作成にあたり、オロンホの基礎データベースとして一貫して出典表記に従った転写を施したデータの蓄積を行うことにきめて実行してきた。データ入力文字についてはキリールアルファベット基盤のアルファベットを検索の容易さを考慮してラテン文字転写に統一した。 本年度は基礎的な入力作業と文献調査に重点をおいた研究を行った。ロシア国サンクトペテルブルグ市における文献調査を効率よく活用し、順調に研究を進めることができた。
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