まず2002年度の研究成果として、本研究の主要概念のひとつである「指標性」についての単著論文を査読付のジャーナルに発表した(次頁に記載)。また、ジェスチャーによる空間指示に関して、2002年3月に米国アリゾナ大学にて開催されたJapanese Speech Style Shift Conferenceにおいて、空間指示枠のシフトに関する研究成果を報告し、その後この会議のプロシーディングとして刊行を目指す書籍の1章として8月下旬に論文を提出した(現在は編集者からその後の連絡を待つ状況である。)。また、来る2003年3月には、日本語の看板広告に見られる空間指示の特徴について国内学会にてポスター発表の予定である(次ページに記載)。関連する研究成果としては、筆者がこれまで共同で進めてきた言語と文化に関するワークショップ/研究会の集大成となる書籍を、2002年9月にひつじ書房から共編著にて出版した(次ページに記載)。 談話資料収集のためのフィールドワークについては、国内にて日本語の会話および書き言葉における空間描写を収集し、研究補助員の助けを借りて文字起こしと分析を実施した。英語のデータに関しては、収集済みデータの再分析にとどまった。ネパール語に関しては、ネパール山岳地域における毛沢東主義者のテロ活動激化に伴い山岳地域でのフィールド・ワークは見合わせたが、2002年8月にはカトマンズ市周辺での談話データの収集を行った。それ以降は、2001年3月にネパール・ヒマラヤ地域にて収集した談話資料とも合わせ、近隣在住のネパール語話者の協力を得て、文字起こしならびに視聴覚データの分析を継続した。このデータに基く論文執筆はすでに始まっているが、公式発表には至っていない。
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