研究課題/領域番号 |
12610569
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
島途 健一 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (70128429)
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研究分担者 |
志柿 光浩 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (60215960)
佐藤 雪野 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 助教授 (40226014)
石幡 直樹 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (30125497)
藤田 恭子 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 助教授 (80241561)
杉浦 謙介 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 助教授 (40196712)
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キーワード | 文学言語の選択 / 母語 / アイデンティティ / マイノリティ / 差別と共生 / 民族性の脱構築 / ナショナリズム / ジェンダー |
研究概要 |
昨年度に引き続き、多民族・多文化・多言語の問題が顕在化している地域についての研究を行い、主として以下のような成果を得た。 1 カリブ海の島と米国本土に分かれて居住するプエルトリコ人のアイデンティティの様態を検証し、言語選択が必ずしもアイデンティティ保持と結びつかないこと、また統一言語の存在が必ずしもネーション存立の必要条件ではないことを明らかにした。 2 日系アメリカ人作家ミツエ・ヤマダの作品を分析し、イタリックスで印刷された日本語の多用によって、作者の先祖の言葉で外国語でもある日本語が醸し出す独特の効果を解明した。あわせて『収容所ノートーミツエ・ヤマダ作品集』の共訳を進めた。 3 ゾルベン文学におけるジャンル問題を考察し、叙情詩がもっとも開花したジャンルであることを明らかにした。あわせてその背景としてのゾルベン人の宗教性やドイツ語との関係を考察した。 4 亡命作家ナボーコフの小説、評論、自伝、書簡などから、母国語(ロシア語)による創作と英語による創作との意味の違いを考察した。また、革命前の祖国ロシアや少年時代の思い出がナボーコフにとってどんな意味を持つているかを明らかにした。 5 ロマ文学における言語使用の様態を分析し、母語による創作活動が際立っている実態を解明した。社会状況、特にマジョリティとの関係による苦難の中で、アイデンティティ確立の手段としての母語選択に傾斜することが原因のひとつであると思われる。 6 ウクライナとルーマニアの国境地域に存在したブコヴィーナとよばれる地域を取り上げ、19世紀後半に積極的に行なわれたドイツ語、ルテニア(ウクライナ)語、ルーマニア語文学間の交流を、非ドイツ系ドイツ語作家たちを中心に跡付けた。
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