平成12年度は、戦後のパリ写真家のうち従来ほとんど研究のなされていないロベール・ドアノーとイジスを、集中的に調査・研究した。ドアノーの場合はブレーズ・サンドラール、イジスの場合はジャック・プレヴェールというフランス人詩人たちと深い関係があり、ドアノー/サンドラール、イジス/プレヴェールのコンビは、各々、写真史上非常に重要な写真集を生み出している。 一方でフランス文学の従来研究では、サンドラール、プレヴェールといった詩人は二流扱いで、特に国内での研究蓄積が皆無に近く、今回は、文学研究として、資料収集・分析にも時間を割いた。 また本研究の眼目である、写真/文学のクロス・ジャンル研究のアプローチについては、今年度は「写真集」というメディアに注目することで、新たな方法論を開拓し、かなりの成果を得ることができた。 以上のようなテーマとアプローチから、今年度は別記のように二本の、学術論文を発表した。またその他に未発表のものとして、プレヴェール、およびブラッサイ関係の論文を二編執筆し終えている。 平成12年9月6日には、日本比較文学会東京支部例会において、「パリ写真集におけることばと映像--イジス/プレヴェール『春の大舞踏会』」と題した発表もおこなった。
|