研究課題/領域番号 |
12610574
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
佐々木 充 新潟大学, 人文学部, 教授 (60105228)
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研究分担者 |
荻 美津夫 新潟大学, 人文学部, 教授 (80115013)
苅部 恒得 新潟大学, 人文学部, 教授 (20018576)
鈴木 佳秀 新潟大学, 人文学部, 教授 (30154602)
高橋 秀樹 新潟大学, 人文学部, 教授 (80236306)
鈴木 考庸 新潟大学, 人文学部, 教授 (90143742)
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キーワード | 叙事詩 / 比較 / 伝承 / アレゴリー / コスモロジー / 語り |
研究概要 |
本研究は、共時生と通時生の観点から、今まで取り扱った叙事詩の世界全体を捉えなおし、歴史的文化的特殊性との関係を追究するとともに、叙事詩の考察範囲を拡大し、文化の相違性を前提としながら、共通した叙事詩の構造を持つ理由を検討するということを研究目標と定めている 本年度は、担当者各々が以上の二点を念頭に置きながら個別研究を進め、かつ月に一度の研究会を開くことによって、各自の研究状況についての発表と、その批判的検討を行った。代表的なものを挙げれば以下のとおりである。 佐々木充は、神話や叙事詩の英国におけるアレゴリー的受容を研究課題としているが、本年度は、シェイクスピアの『真夏の夜の夢』における迷宮観念のさまざまなモチーフがギリシア・ローマの叙事詩化された迷宮観念のみならず、それ以前の元型的な次元にまでもさかのぼりうることを論じた。鈴木佳秀は『申命記』における申命記法の謎についてその論争史を明らかにするとともに、独自の解釈を提出した。苅部恒徳は、『ベーオウルフ』におけるコスモロジーについて論じ、その中で異界・異人という概念が「怪物」を分析する場合に有効であることを明らかにした。荻美津夫は、日本中世の遍歴絵解き者の語る叙事的物語りについて、その淵源であるインド・中国から日本中世までのその実態と変遷を検討した。鈴木孝庸は、平家物語の語りが室町時代において複数で行われていたという従来の考え方に対し、西海餘滴集』に基づき、一人語りであった可能性を指摘した。高橋秀樹は、伝アリストテレス作『アテナイ人の国制』に見られる伝承操作の技法について論じた。
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