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2000 年度 実績報告書

石川啄木のゴーリキー受容の研究

研究課題

研究課題/領域番号 12610580
研究機関日本大学

研究代表者

戸塚 隆子  日本大学, 国際関係学部, 助教授 (40249272)

キーワード石川啄木 / ゴーリキー / ロシア / 日本近代文学 / 日露比較文学
研究概要

石川啄木のゴーリキー受容について研究した一年目の今年度は、前半、啄木の海外文学受容の中でゴーリキー受容を相対化するために、まず、初期から晩年に至るまでの啄木の海外文学受容を再度洗い直した。その際、ワグナー受容の媒介者となった姉崎嘲風の影響の大きさについて先行研究を越える指摘ができた。また、神秘主義的な「永遠の生命」との別れに際し、先行研究では触れていないメレジコフスキーの関与が大きいことが判り、この点については、今後、引き続き調査していきたいと考えている。また、啄木が晩年影響を受けたクロポトキンの稀少本『青年に訴ふ』を入手することができ、今後の研究に役立てたいと考えている。ゴーリキーと同程度に啄木に影響を与えたトルストイについても「日露戦争論」の当時の日本の受容を雑誌を中心に調査し、文明の相剋の意識、黄禍論の背景が影響を与えていることを指摘した。啄木の受容の上では、社会主義を選びトルストイを否定した、という先行研究に対し、両者を止揚する志向性があることを指摘し得た。
以上を踏まえ、後半、ゴーリキーの翻訳、紹介記事を雑誌、単行本を中心に収集、現在文献目録を作成途中である。前半期のトルストイ受容研究を併せ、このような作業を通し、当時の露西亜文学理解、及び、露西亜イメージの形成過程が明らかになりつつある。また、啄木の著作を検討した結果、トルストイと同じ反逆性を認めながら、ゴーリキーの放浪性に注目していたことが判明した。これは啄木の生涯、及びその精神とも深く共鳴しあうものであり、想像以上に両者の関係の結びつきが深い点に確信を持った。現在「ローマ字日記」「雲は天才である」を中心に、両者の作品世界を逐一比較検討している最中である。来年度は、啄木の海外文学受容と当時の露西亜受容の交差点にゴーリキーを浮かび上がらせ、作品論の形でまとめる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 戸塚隆子: "石川啄木の「永遠の生命」"日本研究(国際日本文化研究センター). 23集. (2001)

  • [文献書誌] (鈴木真美 編)共著 戸塚隆子: "『総合雑誌「太陽」の学際的研究』中、『太陽』はトルストイ「日露非戦論」を如何に伝えた。"思文閣. 45/500 (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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