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2000 年度 実績報告書

12世紀イングランドの法と裁判に関する実証的研究-アンスティー事件関連史料の再検討を中心として-

研究課題

研究課題/領域番号 12620007
研究機関九州大学

研究代表者

直江 眞一  九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (10164112)

キーワードアンスティー事件 / アンスティー・メモ / 国王裁判権 / 教会裁判権 / アレクサンダー三世 / ヘンリ二世 / 教皇受任裁判 / ジョン・オヴ・ソールズベリ
研究概要

本年度は、主として以下の関連諸史料を分析・検討することによって、「アンスティー事件」の再構成を試みた。(1)原告アンスティー自身の手による裁判記録である「アンスティー・メモ」(この解読にあたっては、手書本を複数存在する刊本と比較した)、(2)ジョン・オヴ・ソールズベリの書翰を通して伝来し、事件の経過を詳細に伝える「カンタベリ大司教シオバルドの教皇アレクサンダー三世宛書翰」、(3)最終的にアンスティーに勝訴をもたらした「教皇アレクサンダー三世のアンスティー宛書翰」、(4)教皇受任裁判を命じた「教皇アレクサンダー三世のチチェスター司教ヒラリーおよびウェストミンスター修道院長ローレンス宛書翰」、(5)アンスティーが自己の主張の論拠とした「ウィンチェスター司教ヘンリのカンタベリ大司教シオバルド宛書翰」。この作業を通して明らかになったのは、次の諸点である。第一に、本事件の有する婚姻法史上の意義。本事件は、婚姻成立要件として完行(肉の結合)よりも合意(意思)を重視するローマ教会の考え方が定着する過程において重要な役割を果たしたと考えられる。第二に、当該時期における国王裁判権と教会裁判権の間での一種の協働、さらには教会裁判権内部におけるローマ教会と一地方教会たるイングランドの教会の間での一種の分業。この他、「アンスティー・メモ」からは、当時の法曹の存在構造等、社会史的観点からも新知見がいくつか得られた。次年度は、これらの論点を整理・総合することによって、コモン・ロー成立期であるヘンリ二世時代のイングランドで生じた本事件の法的・歴史的意義についてまとめを行う予定である。

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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