2年目の本年度は、タイにおける日系企業とタイ企業の取引行動について、国内およびタイにおいて本格的なヒアリング調査、ならびに質問紙によるサーヴェイを実施した。それによると、一般に、日系企業の取引行動や契約ビヘイビアは、欧米企業と異なるのはもちろん、タイ企業と比べても、より特殊な関係重視型の要素が強いことがわかった。サーベイにおけるタイおよび日系企業担当者の見解も、また具体的事例を通じて明らかになるデータも、同様の傾向を指し示している。これらは従来日本型と呼ばれた行動パターンであり、国内での変容とは別に、海外進出に際して、状況によっては未だそれが維持されうることを示している。さらにデータの分析によると、タイの取引状況の中では、それがまた長期的な経済合理性を有すると見ることもできるように思われる。本年度はこのように日系企業の土地引き行動パターンの抽出を行ったが、来年度は、この調査を補充しつつ、こうした日系企業の取引パターンを可能にし、また経済合理的ならしめているタイの取引環境、社会的・文化的・法的要因の複雑な関係モデルを精査していくことにしたい。 なお、本研究の成果は、中間的に、下記のシンポジウムですでに発表、あるいは発表をエントリーしている。
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