研究概要 |
本年度は、初年度の研究実施計画に従い、以下のような作業を行った。 1.『旧唐書』『新唐書』『唐会要』『通典』『冊府元亀』等から,「守法」関連史料を収集し、分類・入力した(研究補助者を使用)。このデータは、今後の作業の基礎となるもので、第2年度には、これを校訂し、文献批判を加えてゆく予定である。 2.上記の5点に加え、『大唐六典』と『故唐律疏議』についても、文献調査を実施した。12年9月には、九州大学図書館を中心とする資料調査を行った。 3.12年8月には、国際学会での発表(後述)に合わせて、中国国家図書館(旧北京図書館)善本室において約2週間、「守法」関連文献の調査を実施し、必要部分の写真を作製した。 4.8月中旬、中国天津市において開催された「中国中古社会歴史変遷国際学術討論会」において、本研究課題に関連する報告をおこなった。拙稿「唐代における法制史と医学史の交錯」の第3節がそれで、則天武后治下における酷吏とそれに対して命がけで抵抗した工戸の事件を取り上げ、検討を加えた。この報告は、学会に於いて新分野を切り開いたものとして過分な評価を受けた。 第2年度では、上述の1の作業を継続すると共に、さらに国内での資料調査に力点を置いて、少しでも多くの未紹介資料を発掘したいと考えている。
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