本年度(平成13)は、前年度に初歩的整理をした唐代「守法」史料をもとに、主として以下のような作業を行った。 1.前年度作成の「守法」史料集を校訂し、これらの補正を行った。具体的には、「守法」の事例ごとに関連史料を補充し、句読点等についても再検討した(この作業は来年度も継続する)。 2.関連文献の調査のため、関西大学図書館、武田科学振興財団杏雨書屋、京都大学人文科学研究所に出張し、『大唐六典』『唐大詔令集』『唐陸宣公集]『貞観政要』『吏学指南』『孫子中家伝崔氏四花穴法』『本草記聞』等の貴重書につき調査した。なお、これと並行して、都内の東京大学東洋文化研究所、内閣文庫、東洋文庫等でも史料調査を実施した。 3.唐代初期の「守法」の典型的事例を、戴冑(たいちゅう)の例に求め、新旧両唐書をはじめ関連文献を集めて、検討を進めた。報告者は、唐を代表する君主である太宗と戴冑の、法の運用をめぐる対立に注目している。検討の結果は来年度中に公表の予定である。 本年度中に公表した3本の論稿のうち、中国語のものは本研究課題の成果であり、日本語による他の2本は、本研究の前提となる唐宋の法典に関する私見である。
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