本研究は「過去の深刻な国家の人権侵害犠牲者への名誉回復・賠償」について、韓国と台湾を中心に比較検討するものである。平成13年度は前半において、12年度調査の補充を、後半において研究の総合と整理を目指した。 5月4日から6日まで短期ではあったが、韓国ソウルを訪問し、「済州4・3事件真相調査・名誉回復委員会」や「韓国戦争前後民間人虐殺真相糾明と名誉回復のための汎国委員会」を訪れ、資料収集を行った。8月28〜9月4日まで台湾を訪問し、朱徳蘭博士の協力を得て、「戒厳時期不當叛乱曁匪諜審判案件補償基金会」や「二二八事件補償基会」「台湾地区政治受難人互助会」などを訪れ、資料の収集を行った。特に、かつての政治犯監獄である泰源監獄や流刑の地、緑島を直接訪問したことは有益であった。 10月15日には、立命館大学に共同研究者の韓寅燮教授と海外研究協力者である、朱徳蘭台湾中央研究院副研究員を招いて、「東アジアにおける国家暴力・重大な人権侵害からの回復-韓国と台湾」というテーマで研究発表回を行った。そこでは(1)朱徳蘭、「台湾『白色テロ』関係文献探索」(2)韓寅燮「韓国の国家暴力に対する法的処理め基本原則とその適用」(3)徐勝「東アジアの国家暴力の被害からの回復-韓国と台湾の比較」(『立命館大学人文研紀要』に発表)の研究発表が行われた。 本研究との関連で、4月26日、徐勝「東アジアの和解と平和へのアプローチ」、6月20日、戸塚悦朗(神戸大学)「紛争解決としての和解一戦時性的強制被害者問題解決促進の為の法律」、7月26日・松本克美「ハンセン病訴訟熊本地裁判決の意義を考える-戦後補償訴訟との関連で」、12月15日、鄭根埴(韓国・全南大学校)「韓国におけるハンセン病問題の歴史」、白永瑞(韓国・延世大学校)「韓国におけるアジア主義とアジア認識」の研究発表が行われた。
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