日本での国立大学の独立行政法人化が風雲急を告げている。ニュージーランド国立大学のエージェンシー化の研究は日本の大学に大きな教訓を与えうる。本研究が急がれる所以である。今年度は初年度だったので、資料収集に明け暮れた。主として情報源はインターネットであるが、このニュージーランド大学改革について北海道大学が研究に力を入れているので、昨年九月直接訪れて意見交換した。また日本の行革とニュージーランド行革の性格の違いも多面的に研究する必要がある。昨年六月建設省中部地方建設局(名古屋)にておよび今年二月東京での環境問題の研究会でもニュージーランド行革から見た日本国土交通省について報告したが、ニュージーランドの行革では建設省は解体され環境省の下に分属させられたが、日本と違って「全て開発は環境省のコントロールの下に」という思想で行革が貫かれている。ではニュージーランドの大学改革はいかなる理念により推し進められているか、そしてその実態はどうか。この問題の検討のためにニュージーランドの研究者を岐阜大学に招き何回かの研究会を持った。ビクトリア大学のスティーブン・レビン政治学教授を昨年二月と今年の一月に、またルーク・ノテジ九州大学法学助教授を昨年五月に招いた。私自身も、昨年四月三重大学の研究会でニュージーランドの大学改革について報告した。昨年末より冬期休暇を利用してニュージーランドに渡航し、資料収集とともに、ビクトリア大学調査に着手し、法学部でアントニー・アンジェロ憲法学教授と会い、またマッセイ大学のファリブ・ソス経営学講師にも会い、調査への協力を依頼した。ニュージーランドでは特に重要な文献の収集に成功したので、来年度のための本格的な研究体制がかなり整った。今年八月の夏期休暇に予定しているニュージーランド調査ではビクトリア大学の経営責任者(Vice-chancellor)にインタビューする予定である。
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