• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2002 年度 実績報告書

ホームレスの人々の「自立支援」及び権利保障に関する比較憲法学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 12620022
研究機関静岡大学

研究代表者

笹沼 弘志  静岡大学, 教育学部, 助教授 (70283322)

キーワードホームレス / 自立支援 / 生活保護 / 社会的排除 / 人権 / 公的扶助 / 日本国憲法 / 比較憲法
研究概要

本年度は、ホームレスの人々の人権に関する比較憲法学的研究の最終年度であったが、2002年8月に日本で最初のホームレス法「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」(10年の時限立法)が制定され、特に本法制定の背景とその意義に関わる研究を軸に研究を行った。また、本法は欧米、特に米国のホームレス法制を参考にして作られたものであり、米国におけるホームレス法制との比較法的研究に引き続き取り組んだ。
ホームレス自立支援法は、ホームレスの人々の人権保障、とりわけ安定した住居と雇用の場の確保を目的としたものである。ただし、その具体的施策については国の基本方針、地方公共団体の実施計画に委ねられている。また、民間の支援団体等による事業が大きな位置を占めており、国による財政等の援助が定められている。他方、公共施設の適正化に関する規定など問題をはらむ規定もある。これは住居の提供など自立支援策なしに野宿場所からホームレスの人々を排除することを禁止したものだが、施設管理者による排除を正当化するものと誤解されている向きもある。本法が排除と支援(収容)という形で展開すれば、まさに米国型となってしまうであろう。
米国においては連邦法たるマッキニー・ホームレス法がホームレスの人々の自立支援を制度化している一方、地方政府が反ホームレス法をそれぞれ制定し、ホームレス排除と半強制的な収容策を進めている。特に、ホームレス行為の犯罪化と刑務所への収容政策はホームレスの人々の福祉策からの排除ももたらしており、深刻な問題となっている。
日本の新たなホームレス法制を、米国のような排除と収容の手段としてではなく、ホームレスの人々の人権保障という目的に相応しいものとしていくための条件を探ることが今後の研究課題である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 笹沼 弘志: "自立支援の憲法学的意味"法の科学. 31(近刊). (2003)

  • [文献書誌] 笹沼 弘志: "ホームレス自立支援のいかし方"季刊Shelter-less. 16. 50-55 (2003)

  • [文献書誌] 笹沼 弘志: "ホームレス自立支援法-背景と評価"市民政策. 26. 4-13 (2002)

  • [文献書誌] 笹沼 弘志: "ホームレス自立支援法概説-問題点と活用可能性"季刊Shelter-less. 14. 24-58 (2002)

  • [文献書誌] 笹沼 弘志: "地方都市から見たホームレス問題とホームレス自立支援法後の展望"部落解放. 509. 42-53 (2002)

  • [文献書誌] 笹沼 弘志: "最低生活保障は住居を含む-静岡事件裁決の意義"福祉のひろば. 399. 53-57 (2003)

URL: 

公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi