2000年度は、岐阜県、長野県および愛知県における広域連合の現状調査ならびに南部箕蚊屋広域連合の実態調査を行った。また「広域連合の評価」自治研作業委員会・自治研中央推進委員会が1999年に全国の広域連合のアンケート調査を実施し、その報告書が『「広域連合の評価」報告書(案)』として1999年10月に発表されていたので、この報告書と自分で行ったヒアリング調査の結果を下に、以下の内容の「広域連合の展開」という論文を発表した。法規範としての広域連合は、分権の中での新たな集権」の形態として評価されること、しかし法制度としての広域連合の実態は、一部事務組合の看板を掛け替えたものであり、当初の危惧は当面回避されていること、かりに既存の広域連合を存続させるのであれば、広域処理を求める住民自治的意思を広域連合の運営に反映する民主的統制の強化が求められることなどを明らかにした。 つぎに近年、広域連合施策と市町村合併が密接に関連していることから、最近の広域行政の動向を「広域行政と市町村合併」という論文にまとめた。そこでは、市町村合併論が広域行政=事務・機能の集中と行政区域の拡大=権力の集中という論理的レベルの異なる両者を意図的に混同したものであり、合併以外の広域行政処理手法としての民主的な自治体間の共同処理を対案として提起した。 この民主的な自治体間の共同処理の規範的内容を行政法理論史として検討するために、室井理論の展開を中心にして「民主的広域行政論」という論文をまとめた。
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