今年度は、研究期間の最終年度であったので、既存の踏査研究および文献研究によって得られたこれまでの研究成果を確認するために、介護保険事務を担当する広域連合を対象にアンケート調査を実施した。 その結果、地方自治法に規定されている「法規範としての広域連合」は、中央集権的地方公共団体と評価できよう。しかし実際の「法制度としての広域連合は、一部事務組合の看板を掛け替えたにすぎないものになっている。 具体的に、介護保険についてみると、ほとんどの市町村は、単独で保険者運営をしており、市町村からは広域的な介護保険者運営は必要ではない、と判断されている。立法時に説明された広域連合のメリットである都道府県の参加はまったくなく、県からの権限移譲も1広域連合に止まっている。介護保険事務の一部の広域処理でもっとも多い認定審査会の共同設置のみで考えると、広域連合より機関の共同設置のほうが効果的である、といえよう。 今後、広域連合は、自治体等(NPO)間の横の緩やかな連携による事務(介護保険に止まらない)の民主的な処理組織として再編されなければならないであろう。
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