最近、市町村合併との関係で、広域連合制度が再び注目され始めている。たとえば、北海道町村会は、複数事業を共同で行う連合自治体の創設を提案し、大森弥千葉大学教授も全国町村会総会(2003年1月31日)の講演で、広域連合制度の再構築による小規模町村への補完を提唱している。 本研究では、介護保険事務を担う広域連合を中心にアンケート調査等を通じて、現状分析を行った。その結果、地方自治法に規定されている「法規範としての広域連合」は、中央集権的地方公共団体と評価できよう。しかし実際の「法制度としての広域連合」は、一部事務組合の看板を掛け替えたものにすぎないものになっている。 具体的に、介護保険事務についてみると、立法時に説明された広域連合のメリットである都道府県の参加はまったくなく、県からの権限移譲も1広域連合に止まっている。介護保険事務の一部の広域処理でもっとも多い認定審査会の共同設置のみで考えると、広域連合より機関の共同設置のほうが効率的である、といえよう。 今後、広域連合は、自治体等(NPOを含む)間の横の連携による事務(介護保険に止まらない)の民主的な処理組織として再編されなければならないであろう。
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