本研究の目的は、日本国憲法の成立をめぐる、極東委員会、マッカーサー司令部、ワシントンの三者間の駆け引きの全体像を可能な限り明らかにすることである。 科研費の交付内定の通知があったのが昨年10月であったため、初年度は、専ら米国所在の新資料の探索・収集に努めた。すなわち、今年1月1日から一時帰国を挟んで50日余りの間、ワシントンD.C.近郊に滞在し、主としてNational Archives IIで資料の探索・収集にあたった。なお、その間に、Library of Congressも利用したが、当初の計画にあったNaval History Centerは当該部署が臨時閉鎖中で利用できなかった。 収集した資料の整理と詳しい分析は次年度以降に行う予定であるが、特に下記の一群の資料中に、本研究にとって重要な資料を数多く見出すことができた。上記の三者間駆け引きについての「全体像」を描くに必要な資料をほぼ期待通り収集することができたので、初年度としては十分な成果があったと満足している。 1)米国陸軍省内の、マッカーサー司令部との連絡部署の旧蔵資料 2)米国海軍省旧蔵資料 3)マッカーサー司令部関係資料 もちろん、既に、新収資料の分析もある程度行っているので、それによりもたらされた新知見も少なからずある。その一部は、来年度に論文として公表する予定である。
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