本年度は、「1999年改革」について、とりわけ、以下の研究を行った。 1.行政組織法としての警察法の特色を、「分権と集権」および警察庁の組織法上の特徴という観点から検討した。地方分権改革後も、都道府県警察の事務(自治事務)は依然として「国家的性格」を有するというのが警察法の立場であること、また、「独立の機関」でありながら国家公安委員会の補助機関でもある点に警察庁の独特な性格が見出され、その点は、いわゆる省庁再編後も不変であること、などを明らかにした。 2.地方分権改革に関して、国と自治体との関係がどのように変容することになったかという観点から、「国家関与」の問題をとりあげて、詳細な考察を加えた。いわゆる新地方自治法の下でも、国の自治体に対する関与手段については、自治事務に関しては以前の自治事務(団体事務)との対比、法定受託事務に関しては以前の機関委任事務との比較において、基本的に、関与法制の核心的部分は維持・継承されたことを指摘し、そのような関与の一般的・実質的根拠は、「国の利害に関わる」という利益説的発想か、「国法秩序の維持」という責任説的考え方のいずれかに求められるのではないか、ということを示した。 3.2001年1月にスタートした新府省について、再編の具体的な内容・各府省の歴史的な系譜・今後の課題等について研究した。本年度は、昨年度からの続編として、法務省・外務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省をとりあげ、それぞれの特色を示し、これらの各省に即して中央省庁再編の意義と課題を明らかにした。
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