平成12年度においては、国際組織の国際法定立機能のうち、国連の国際法委員会(ILC)における国際条約の起草・定立過程につき、とりわけ国家責任条文草案の第二読作業を素材として研究を行った。その中で、条文草案に対するILC各委員の意見、各国政府のコメント、さらに有力な学者の見解等が、どのような形で条文草案の改訂作業に反映されていくかを、さまざまな作業文書等の資料を通じて検討した。また、国際法協会(ILA)の中に設けられた「国際組織のアカウンタビリティー」(Accountability of International Organisations)に関する国際委員会に日本支部からの推薦を受け委員として参加し、2000年7月の国際法協会ロンドン大会やその後の同委員会における議論等を踏まえて、国際組織に関する法的諸問題を組織の「アカウンタビリテイー」という視座から検討する研究も行った。この点に関しては、2001年3月にオランダのハーグで開催される同委員会での討論の基礎資料となる文書を、大韓民国・高麗大学の朴基甲教授と共同で取りまとめて委員会に提出した。また、WTO/GATTに関しては、2000年3月にホーランド・ルブリンのマリア・キュリー・スクロドゥスカ大学法学部で行った講演にその後の研究成果を加えた英文の研究論文を、同大学の紀要に発表した(2001年5月刊行予定)。
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