研究課題/領域番号 |
12620034
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中谷 和弘 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (60164216)
|
研究分担者 |
長谷川 正国 福岡大学, 法学部, 教授 (80148858)
城山 英明 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助教授 (40216205)
中川 淳司 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (20183080)
河野 真理子 筑波大学, 社会科学系, 助教授 (90234096)
山本 良 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (30272024)
|
キーワード | 国際裁判 / イラン米国請求権裁判所 / 国連補供委員会 / 履行確保 / 国際判決 / 国際司法裁判所 / 国際仲裁裁判 / 自己実結的法制度 |
研究概要 |
昨年度の研究に引き続き、本年度も交付申請書の研究実施計画に基本的には沿いつつ研究をすすめた。(1) 湾岸戦争の事後処理機関としての国連補償委員会、イラン革命と人質事件に伴う経済的紛争の事後処理機関としてのイラン米国請求権裁判所、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争に伴う不動産の権利関係の混乱を処理するための不動産請求権委員会といった新しい紛争事後処理機関、(2) 国際司法裁判所判決(特に寺院事件判決および人質事件判決)や国際仲裁判決(特にみなみまぐろ事件判決)が出された後の状況といった具体的な主題を横軸に、他方、(3) 国家責任論との関連での国際紛争の事後処理の実効性と問題点を縦軸にとって、法理と現実の有機的な関連に留意しながら検討をすすめた。(1) に関しては、紛争の特質に合致して単発的に発生したこの種の特別な事後処理機関は、実効的に機能していると評価できる。今後も生じることが予想される大規模紛争において設立される保証はないものの、国連が関与した紛争については、国連が責任をもってこの種の事後処理機関を創設・運営することが必要である。(2) に関しては、判決が履行されない例(人質事件)ばかりでなく、判決内容に不満をもつ国内世論が暴発する(寺院事件)おそれも、紛争の実効的な処理にあたっては十分に留意しなければならない。(3) に関しては、国際法違反に対する責任問題の実態は国際法委員会「国家責任条文草案」の通りになされる訳では決してない。妥協や請求権放棄等、外交上の関係を反映した解決がなされることや、またあえて最終解決せずに放置するという選択肢をとることも少なくないのである。
|