研究概要 |
研究初年度(平成12年度)の研究成果から、日本の福祉政策のパラダイム転換(1995年7月の社会保障制度審議会勧告『社会保障体制の再構築』)を経た現在、「市場のグローバル化」における女性の無償労働問題を検討する場合には、(1)地球規模の資本主義的家父長制のなかでの位置づけ、および(2)無償労働を有償化(商品化)することに伴う問題群の把握、が必要であることを明らかにすることができ、研究第2年度(平成13年度)は、主に上記(1)に取り組んだ。 研究第3年度にあたる平成14年度は、主に上記(2)に関して、特に、労働力再生産過程における世代間・世代内の公平性(単に資源の平等な配分状態を表すのではなく、たとえ不平等な配分であったとしてもそれを正当なものとして受け入れること)をいかに確立できるかについて、「育児期」と「高齢期」という基本的な2つの社会リスク(自力で生計を立てられなくなる状態)のうち、前者に重点を置いて検討した。その途上で、日本の主権機能変容の一形態としての「民事不介入原則の見直し」を児童虐待防止法を例に検討し、公益としての「世代継承」を家族のgenerativity(世代継承能力)との関連で考察した"Reshaping 'Modern Family' in Japan : An Analysis of Legislation on Violence in the Praivate Domain"と題するペーパーをまとめ、Law and Society Association主催のSymposium on the Reach of Law in the Pacific Rim (Vancouver, Canada)において報告した(5月)ほか、対少子化政策の分析も加えた報告を、広島市民対象の公開講座において「子育てはだれのため?-グローバル化の中の家族-」と題し行った(12月)。 なお、5月のペーパー等が評価され、昨年度面談したStanford UniversityのSatz, Rhodeの2教授がDissertation Committeeのメンバーとなることを承認し、主指導教授のRadin教授に加えてこれら2教授からも、次年度以降の科研費研究に関して協議し助言を受けることが可能となった。
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