本研究は、わが国において、消費者契約法や金融商品販売法等、事業者による自主規制を促進する法制化が進みつつある現状において、事業者団体による自主規制規範の制定や裁判外紛争処理制度の一種であるビジネス・オンブズマン制度の面で、注目に値する実績をあげてきているいくつかの海外諸国を対象に、行政規制と自主規制の関係、事業者の自主規制制度とビジネス・オンブズマン制度の現状と特徴、消費者及び行政の参加による共同規制への試みの現状を調査し、その上に立って、自主規制制度を含めた消費者法モデルを析出し、21世紀にあるべき消費者重視の日本型モデルを提案することを目的としている。 その中で、平成12年度は、研究の初年度として、カナダとオーストラリアの事業者・事業者団体による自主規制について、外枠としての法規制の内容と自主規制との関係、それぞれの歴史的発展経緯、両者の中間形態としての共同規制や標準化への動きに注意を払いながら、全体的な把握につとめた。 具体的には、カナダについては、電子商取引の分野における消費者保護のための標準化という視点から産業省消費者問題局やカナダ標準会議の調査を行った。オーストラリアについては、いくつかの業界オンブズマン及びコンプライアンス専門家を相手とした調査を行うとともに、財務省タスクフォースによる「消費者市場における業界自主規制」最終報告書の検討を行った。また、国際標準化機構消費者政策委員会の年次総会(京都市)において、松本がパネリストとして講演するとともに、各国の関係者と情報交換を行った。
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