今年度は、外国の裁判及び裁判外の紛争処理制度における専門的知見の利用に関する調査・検討を行った。 具体的には、これまでに刊行された単行本・雑誌、個別諸機関のパンフレットなどの文献・資料に基づいて、各制度・機関における専門的知見の利用の実情を検討するほか、昨年度の引き続き、当該テーマに関わる各種シンポジウムや研究会に出席して、様々な情報交換をした。 このようにして収集した情報に関する本格的な分析は、現在継続中である。ただ、9月に米国で起こった同時多発テロの影響で、今年度の秋に予定していた米国における科研による調査を実施することができなかった。このため、総合的な分析を経た研究、および、その成果の公表は、残念ながら、来年度に延ばさざるをえなくなった。 今年度の成果としては、後述のものがある。これは、日本国内の紛争処理、とくに倒産処理に関する概観であるが、この中では、倒産処理の過程で必要となる法律以外の専門的知見の利用に留意して記述している。 また、現時点では論文などの形にはなっていないが、一昨年のシンガポールにおける調査の成果として、平成14年2月15日に大阪において開催された法務省法務総合研究所と(財)国際民商事法センターの共催によるアジア・太平洋諸国におけるADRに関するシンポジウムにおいて、同国の裁判外紛争処理機関に関して、専門的知見の利用を含む報告をした。これは、いずれ公表する予定である。
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