1 金融担保制度に関する学会・研究会報告 金融担保制度、とくに抵当権、非典型担保に関する文献を収集した。また、事務所を訪問して理論的または実際的知見を聴取した。さらに、東京および大阪の学者・弁護士・金融実務家を中心とする研究会・学会においてその成果を数回に渡り報告した。 2 日本・ドイツの担保法の比較 昨年は、日本・ドイツの銀行普通取引約款の比較を行い、わが国の銀行取引約定書の担保条項の特異性を明らかにした。本年は、引き続いて、日独担保法の比較研究を行った。その結果、わが国の担保法の特徴と課題を明らかにした。この成果を、比較法学会で報告し、比較法研究6.3号に発表した(本年4月の刊行の予定)。 3 抵当権制度を中心とする担保制度の再検討 抵当権制度の中でも、物上代位、短期賃貸借、抵当権実行、相殺制度、敷金制度について調査・研究を行った。特に、抵当権の物上代位と相殺の抗弁権の競合に関する最高裁判決について、判例研究を行い、私法判例リマークス24号に発表した。 4 資産流動化法 担保制度の不備を補充する機能を有し、かつ、わが国の金融制度を活性化する新たな制度である担保不動産・資産の流動化について研究を行い、民事研修63号に発表した。 5 非典型担保の検討方法 昨年の日本私法学会のワークショップの報告を発展させ、典型担保と非典型担保との関係および種々の非典型担保を理論的に統一した体系のもとに法律構成する研究を行った。その成果を論文では「非典型担保の検討方法」として、國井和郎教授還暦論文集に掲載した。また、その総合的な成果を『非典型担保理論の研究』として1書に纏め、`平成14年度中に出版する予定である。
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