特約店契約やフランチャイズ契約のような継続的契約においては、まず「基本契約」と呼ばれる契約が締結され、その後、個別的な原材料の売買契約などの「個別契約」が締結されるのが通常である。本研究は、このうちの基本契約につき、その法的性質が通常の契約と異なるか否かを明らかにすることを目的とした。そして、その具体的な帰結としては、基本契約に関して、売買契約における代金額の決定、債務不履行における特別損害の予見可能性、および、契約当事者の地位の移転の3つが、とりわけわが国において問題となることを指摘した。本年度の研究も、このうちの契約当事者の地位の移転に関する研究を中心に、その総括をおこない、『契約譲渡の研究』(弘文堂、2002年12月)という一書にまとめ、これを刊行した。その成果によれば、継続的契約の締結に際しては、相手方当事者の資力のみならず、経験、経営能力、資質等の人的要素を考慮するのが通常であり、当事者の承諾なしにその一方が交替することは許されない、と解されている。そして、実務においても、基本契約において、契約当事者の地位の移転には相手方の承諾を要する旨の条項が挿入されることが通常であることを確認した。そして、この3月には、パリ第2大学(パンテオン・アサス)において、本研究を発表し、フランスおよびスペインの研究者と討論することを予定している。
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