研究課題/領域番号 |
12620058
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会法学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩村 正彦 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (60125995)
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研究分担者 |
中野 妙子 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助手 (50313060)
嵩 さやか 東北大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (00302646)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 労災保険 / 職業病 / 労働安全衛生 / 業務起因性 |
研究概要 |
本研究では、主としてホワイトカラーの間で、勤務による蓄積疲労やストレスを原因とする新しい類型の疾病(典型例は急性脳心臓疾患(いわゆる「過労死」)や自殺)が広がりつつことに示されるような労災保険制度を取り巻く問題状況の変化に着目し、こうした業務災害をめぐる新たな状況に対応できる労災保険制度の将来像、とりわけ災害予防、補償、杜会復帰・職業復帰を有機的に関連させる制度設計の可能性の模索を試みた。とくに、労災保険制度を中心に据えて、業務災害の予防、補償、および社会復帰・職業復帰に関するフランス・スウェーデンの法制度、法理の解明と分析を行うこととした。そのために、文献・資料の収集を行うとともに、わが国で情報の入手が困難なスウェーデンを対象として、現地での聞き取り調査や資料収集活動を行った。そして、こうして集めた文献・資料・調査結果の分析も遂行した。その結果として、フランスでは、労災保険制度は補償にウェートを置いているものの、保険者である疾病金庫が、補助金や保険料の割増賦課といった経済的インセンティブを用いながら、事業主に予防を促す活動を行っていること、他方で社会復帰・職業復帰については、保険給付でリハビリテーションなどを提供してはいるが、それほど重きが置かれていないことが明らかとなった。スウェーデンについては、労働災害・職業病も合めて包括的な医療サービスが税を財源とする制度によって提供され、その枠内でリハビリテーションにも取り組んでいること、労災保険は金銭給付中心で、予防についてはそれほどウェートが置かれていないことが浮かび上がった。これらの比較法研究の成果を踏まえ、わが国の業務災害の予防、補償および社会復帰・職業復帰の現行制度の特徴について考察を加え、業務災害を取り巻く変化に対応できる労災保険制度を中核とした予防、補償および社会復帰・職業復帰の制度に関する今後の法政策を検討した。
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