1 研究の2年目も、前年度に引続き資料収集および問題点の発見・整理を行った。資料収集については関連の図書・雑誌等を購入し、インターネットを通じて各種のサイトからも情報を入手した。また、東京・大阪を中心に大学や研究機関を調査し、資料の収集に努めた。問題点の発見については、競争法の観点から「独禁法判例研究会」((財)比較法研究センター)や「関西経済法研究会」(公正取引委員会近畿事務所)等に、知的財産法の観点から「デジタル・コンテンツの権利処理と契約に関する調査研究委員会」((財)ソフトウェア情報センター)等にそれぞれ出席し、学者や弁護士、企業の実務家等と意見を交換した。 2 本年度は、特に「技術標準と競争政策に関する研究会」および「ソフトウェアと独占禁止法に関する研究会」(いずれも公正取引委員会)に委員として参加した。両委員会の検討事項は本研究の内容と密接に関わっており、そこでの議論を通じて極めて有益な示唆を得ることができた。 3 本年度の成果として、幾つかの具体的なテーマ・課題が発見された。例えば、(1)著作物が物理的媒体を通じて流通する場合とデジタル・コンテンツとして流通する場合の実体上の相異と法的概念の区別の必要性、(2)ソフトウェア著作物と他の著作物との相異、(3)ソフトウェアが著作物、特許、およびノウハウとして保護対象となる場合の相互関係、(4)既存の法律ではカヴァーされないデジタル・コンテンツ(単なるデジタルデータ等)の保護の在り方、(5)NTTやJASRAC等、市場において優越的地位にある者に対する規制の在り方、(6)権利者と流通業者および最終ユーザー間の法的関係、などである。
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