研究課題/領域番号 |
12620064
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
河野 正輝 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (70032703)
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研究分担者 |
安立 靖史 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (40192968)
伊奈川 秀和 九州大学, 大学院・法学研究院, 助教授 (90304708)
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キーワード | 権利擁護 / 地域福祉権利擁護事業 / 苦情解決 / 施設オンブズマン / 介護保険サービス契約書 / ケアマネジャー |
研究概要 |
1 地域福祉権利擁護事業の全国的な導入の状況、先駆的な地方・施設における施設オンブズマンの状況を調査するとともに、本研究の第1年目として特に介護保険におけるケアマネージャーの業務における権利擁護の状況を重視して調査した。 2 ケアマネージャー調査は、1年目の予備調査として、F県社会福祉士会所属のケアマネージャーおよびS社会福祉法人所属のケアマネージャーを比較対象として、(1)時間外勤務・休日などの勤務状況、(2)権利擁護の観点からみたアセスメントの実施状況、(3)権利擁護の観点からみたケアマネージャーの利用者・家族・第三者への対応、(4)サービス事業者との契約締結をめぐる権利擁護の状況、(5)権利擁護の観点からみたサービス実施後のモニタリングの状況、(6)ケアマネージャーによる苦情の受付け・解決の状況、(7)権利擁護の観点からみたサービス基盤の整備状況、(8)権利擁護に関するケアマネージャーの研修の状況など、50項目について聞き取り調査を行った。 3 ケアマネージャーの勤務状況については、時間外勤務が週20時間を超える者が28%、公休日を消化できない者が58%に上り、慢性的な疲労の蓄積が顕著で、ケアマネージャーとしての本来の権利擁護活動の余裕がない。 4 権利擁護の観点から、アセスメントの実施状況をみると、その必要をほぼ全員認識しながらも、時間の余裕がないこと等から、ほとんど実施していないか、監査をクリアーするための形だけのアセスメントになっている例が少くない。 5 サービス事業者との契約締結をめぐる権利擁護については、自社のサービスのみを紹介する者が約20%、最終的に契約内容を把握していない者が約30%みられる。契約書にケアマネージャーの確認印を捺すものと捺さないもののバラツキがあるほか、ケアマネージャーがどこまで関与するかにつき混乱がある、などの調査結果が得られた。
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