研究課題/領域番号 |
12620064
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
河野 正輝 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (70032703)
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研究分担者 |
中島 誠 九州大学, 大学院・法学研究院, 助教授 (90336040)
安立 清史 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (40192968)
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キーワード | 権利擁護 / 権利擁護の指針 / 情報提供 / 選択(同意) / 虐待 / ケアマネジメント |
研究概要 |
1.研究実績の第1は、ケアマネジメントの業務の流れに沿って、介護サービス利用者の権利義務関係の内容を詳細に分析するとともに、権利擁護の視点から留意すべきチェックポイントおよび権利擁護の方法等をマニュアル化したこと、そして、そのマニュアルの有効性を実際に現場で検証した上で、「権利擁護の実践:ケアマネジャーのためのガイドライン(試案)」を開発したことである。同試案は「相談受付」の段階から「課題分析(アセスメント)」を経て「居宅サービス計画の実施とモニタリング」の段階まで、31のプロセスに分けて、それぞれのプロセスで実践されるべき権利擁護のポイントを合計203項目にリストアップしたものである(その成果は、平成14年度研究成果報告書(冊子体)を参照)。 2.研究実績の第2は、権利擁護について先進的なイギリスのハートフォード県(Hertford shire)社会サービス部での聞き取り調査で得られた取り組み例を参考に、広く福祉従事者にための「権利擁護の理論的指針」を明らかにしたことである。この指針は、(1)情報提供の指針(すなわち、情報の権利の意義と根拠、提供すべき情報の範囲、情報の範囲についてケアマネジャーの裁量とその制約、情報を請求しうる者、情報提供の様式と方法、情報提供と守秘義務との関連、および情報提供のための基盤整備の各論点についての指針)、(2)選択(同意)の指針(すなわち、同意の権利の意義と根拠、二つの同意の区別、同意の形式、同意能力の有無の判断、家族・成年後見人による代理の限界、同意なしに又は意思に反して援助すべき場合、の各論点についての指針)、および(3)虐待に対する権利擁護の指針、をその解釈運用上の争点を考慮しつつ、詳論したものである(その成果の一部は、河野正輝「介護保険と権利擁護」(古川孝順ほか編『現代社会福祉の争点(下)』中央法規、2003年、149-179頁を参照)。
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