研究課題/領域番号 |
12620083
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
今里 滋 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (30168512)
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研究分担者 |
木原 佳奈子 熊本県立大学, 総合管理学部, 助教授 (40234330)
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キーワード | 行政改革 / 自治体経営 / NPM / ニュー・パブリック・マネジメント / アカウンタビリティ / バランスシート / 長期戦略計画 / ベンチマーク |
研究概要 |
本年度は比較研究対象国のうち、日本とアメリカに焦点を絞って研究を行った。アメリカでの主要研究項目の一つは、行政評価である。アメリカでもっとも著名な行政評価を実践している自治体としてオレゴン州、その中のムルトマ郡、ポートランド市等がある。オレゴン州は1997年1月に「オレゴン・シャインII」なる戦略計画を策定し、92の最新のベンチマークを採用し、実用化している。またムルトマ郡も改革委員会において「コミュニティ・ベンチマーク」を開発し、地域経済や生活環境向上の指標として活用している。さらに、ポートランド市もつとに1989年に7つの領域からなる「地域開発計画」を策定し、その中で計画達成の確認指標としてベンチマークを用いている。各政府レベルの戦略計画は相互に関連性を持ち、またベンチマークは住民に対する政府のアカウンタビリティ具体化の骨格を成している。本年度の研究では現地調査を行い、実務担当者にヒアリングを行うことによって、こうした戦略計画の手法が、公的資源の効率的かつ効果的利用の確保という目標にどれだけ、またどのように、貢献しているのかを実態的に即して検討した。ところで、NPM的な行政改革は市民活動への授権(エンパワーメント)とセットになっていることがしばしばである。日本ではNPOとして知られる非営利組織と行政の協働の実態についても、サンフランシスコ及びニューヨーク市等においてヒアリング調査を行った。アウトソーシングは民間的経営手法でも代表的なものであるが、NPM的行政改革においては、市民活力の活用という一種のアウトソーシングが不可欠であることを一連の調査を通じて確認することができた。日本では、公会計への発生主義会計の導入、自治体における業務棚卸しやバランスシート導入の実態分析等を行ったほか、全組織を挙げてNPM的行政改革に取り組んでいる福岡市の「DNA運動」につき事例研究を行った。
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