本年度は、平成12年度のアメリカ調査、平成13年度の英国調査に引き続き、日本におけるNPM型自治体改革に焦点を当てて、研究に努めた。研究アプローチとしては、文献資料の収集・渉猟による探査はもちろんのこと、研究分担者自らが自治体改革の現場に参入し、改革の実践を経験するという手法を取った。その一部として愛知県瀬戸市の「行政経営委員会」がある。瀬戸市役所では、平成12年度「事務事業評価システム」を試行的に導入したが、その成果が十分に得られなかったため、平成13年度以降は平成15年度より策定が予定されている第5次総合計画策定(平成18年度実施)に向けての抜本的な経営改革に乗り出すこととなった。そのリーディング・コンセプトをNPM(ニュー・パブリック・マネジメント)論とし、それに基づく行政システム改革を展開することとなった。「行政評価」「公会計改革」「NPOとの協働」等を媒介としながら、職員の意識改革や組織文化の変容、意思決定プロセスの改革を目指したわけである。研究分担者の一人である今里 滋は、このうち、市民公益事業促進部会(以前は、「パブリック・インボルブメント部会」)の部会長を務め、主として「NPOとの協働」を担当した。この改革は、まだ道半ばではあるものの、日本型NPM改革の代表例といってもいい。本年度の研究では、瀬戸市の改革を主軸にしながら、わが国におけるNPM型自治体改革の現状を分析している。瀬戸市のほか、福岡市の「DNA改革」、名古屋市の経営改革、藤沢市のマネジメント・システム改革を含んでいる。
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