研究概要 |
本研究は,発展途上国に対する開発援助政策をめぐる理論的・政策的課題に応えるために,「相互依存モデル」の枠組の下で,日本の政府開発援助(1975-1995)について,援助供与の効果を,(1)援助は供与国の政治的・経済的な利益を増進するのか,(2)供与された援助は途上国の経済成長と分配の平等に貢献するのか,という2点に分けて検討することを目的としている。 本年度は,上記2点についての先行研究の調査を完成させ,統計的研究については,Integrative Research ReviewやMeta-Analysisの手法を利用して整理し,中間結果を紀要論文に発表する予定であったが,時間的制約などから先行研究のサーベイが十分ではないため,論文の形にまとめることはしていない。 日本の政府開発援助(1975-1995)を実証分析の対象として検討するための資料収集を行なった。次年度は,収集したデータの分析に取り掛かる。その際,どのような変数に対してどのような指標を採用し,どのようなモデルを検証するために,どのような手法を利用するのか,先行研究のサーベイを早急に整理して,具体化していきたい。 資料の収集は,ミクロ・レベルでのプロジェクト評価の候補地の選定と平行して行なった。現時点では,当初の予定通り,これまで研究代表者がプロジェクト視察をしたことのある,マレーシア,タイ,バングラデシュの3カ国を予定している。ただし,個々のプロジェクトの評価それ自体に重点を置くのではなく,ミクロ・レベルでの評価とマクロ・レベルでの評価とをどう有機的に結びつけるのか,に重点を置きたい。
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