近年の共和党において中小企業団体、減税推進団体、イデオロギー的保守団体、経営者団体、文化的保守団体、キリスト教保守派団体、そして外交的タカ派団体などが強固で安定した連合を組み、相互に支援しながらそれぞれの政策課題を推進しようとしている様相をいくつかの論文において明らかにした。ここで指摘できるのは、共和党内の穏健派あるいは国際派勢力の劇的な凋落である。保守派の団体は定期的に会合を重ね、共和党内保守派の候補者・議員を支援している。政党と圧力団体の壁も近年非常に低くなっており、これらの党外の集団がきわめて大きな影響力を持っにいたっていることも本年度の研究成果で指摘した。とくにもっとも代表的な中小企業団体である全米自営業者連盟の政治部門は、政党の公認審査を行う執行部に近い機能を果たしているともいえる。このような党内の勢力関係の変化は当然国内政策の大きな変化をもたらすが、これは同時にかなり大きな外交政策的な含意をもつことも、公刊した論文において指摘した。 また、本年度は民主党の変容についても研究を行い、ここでもハイテク業界など新しい政治勢力が党内で影響力を伸ばすにつれ、党内の左派に対抗して中道穏健派の派閥が近年急に勢力を拡大していることを指摘した。ここではとくに予備選挙にも介入するニュー・デモクラット・ネットワークという政治活動委員会が重要な役割を果たしている。
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