本研究は、2003-5年に実現される予定のEUの東方拡大と中欧について、その歴史的・社会的背景を踏まえつつ、検討するものである。冷戦の崩壊と社会主義体制からの体制転換後、中欧の状況は必ずしも当初思い描いていたほど明るくはなく、問題は山積みされている。ここでは、体制転換後12年、中欧がEU拡大の中でどのように変化し21世紀にどのような課題を持ち越しているのかを、政治・社会状況の分析・検討により明らかにする。 3年にわたる研究について、私は、1年目の2000年は、資料蒐集と国際学会の報告、2年目は、各種研究会での報告と論文著書へのまとめ、3年目は、全体の成果をまとめての著書出版と言う形で考えていた。故に本年度2000年の研究実績は、既に200*年3月から始まる国際会議での報告に向け資料を蒐集し、諸研究者と懇談する中で、研究を深化させた。(3月:ロサンゼルス、7月:フィンランド、8月:ノルウェー、10月:法政大学) 国際学会報告の内容は、7月はEU拡大の中での社会補償問題の深刻化について、8月はグローバリズムの中での地域主義特集として、拡大と東欧の民族問題について9月は地域・民族格差とポピュリスト勢力の成長について扱った。8月にはハンガリー人マイノリティの会議にも参加することができ、当事者から直接の状況・不満を確認することができた。10月の法政大学の国際シンポでは、7-8月の報告と調査を踏まえて、より包括的な報告を行うことができた。7月、8月、10月の報告は、※いずれも、英文での著書刊行、あるいはCDROMとして、既刊、あるいは近い将来に刊行される予定である。
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