今年度の研究は第2段階、即ち1945年から冷戦期にかけての朝鮮人と日本人が共有するに至った朝鮮人のイメージを調査分析した。この期間においては、日・朝・韓3国関係に対するアメリカ人のイメージが、考察されるべき最重要課題と考えられるので米国の日韓朝関係に関してのイメージを中心に研究を行った。アメリカ人のイメージは主に米国占領軍の資料から調査した。これは日本に滞在したSCAPのレポートやメモなどに加え、韓国に滞在した米占領軍の資料も検討した。民間レベルでは、日本と韓国の新聞社説や雑誌記事から調査を行った。米占領軍が想像したイメージは占領政策から明確に見てとれる。問題点はこの占領軍の作ったイメージに日本の影響がどの程度あるかという点である。在日および在韓の米占領軍の統治政策には日韓関係を上下の関係とするイメージが明確に見られる。このイメージは日帝下に持った日朝関係と類似しており、米国政府が持った併合前(1900年ごろ)の日本と朝鮮のランキングとほぼ同じイメージであった。日本と激しい戦いを経験したにもかかわらず、北東アジアの秩序に関するアメリカの見解は変わっていなかった。 来年度はこの研究の第3段階で、この問題を1965年の日韓条約まで調査する予定である。時間が許す限り1980年代の教科書問題を調査して、この研究を終了する。今後の課題として以下の点があげられる。1.占領時代終了後、日本人の朝鮮半島と朝鮮人に対してのイメージに変化はあったか。2.韓国の経済成長はこのイメージを左右したか。3.北朝鮮と韓国とのイメージの違い。
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